悪事をこなすために、
女性警官の姿に”変身”した犯罪者の男ー。
しかしー
そのことがきっかけで、彼は予期せぬ方向へと
進んでいくー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ククククー…」
犯罪組織”アビス”に所属している男、
黒原 益夫(くろはら ますお)は、
物陰に隠れながら笑みを浮かべていたー。
サングラスを手に、笑みを浮かべる益夫ー。
その視線の先には、パトロール中の女性警察官ー、
篠森 梨乃(しのもり りの)の姿があったー。
正義感の強い女性刑事で、
最近では、犯罪組織アビスの捜査チームに加わっているようだー。
まだ若いながらも、
度胸もあり、その正義感の強さは、
犯罪組織側からしても、面倒な存在だったー
だがー
「ー今日から、俺がお前になるぜー」
益夫はサングラスを手に、不気味な笑みを浮かべながらー
車から降りて来た梨乃のほうを見つめー
”チャンス”を伺っていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日前ー
犯罪組織・アビスの現幹部の一人、鵜飼(うかい)から
呼び出された益夫は、鵜飼の部屋を訪れていたー
「失礼しますー」
鵜飼の部屋に入ると同時に頭を下げる益夫ー
だがー
そこにいたのはーーー
「ーえ…?」
益夫が表情を歪めるー
そこにいたのはイスに拘束された状態のキャバ嬢とーーー
その前に立つーーキャバ嬢だったー。
「ーーーー…」
目をぱちぱちとさせる益夫ー。
”どうして鵜飼さんの部屋にキャバ嬢が二人もー?
ってか、鵜飼さんはどこだ?”
益夫がそんな風に思っているとー
やがて、椅子に拘束されたキャバ嬢の前に立っていた
キャバ嬢が振り返ったー
それを見て「えっ!?」と、益夫が声をあげるー。
驚くのも無理はないー。
振り返ったキャバ嬢とー
イスに拘束されているキャバ嬢が
”全く同じ顔”だったのだー
「ーーふ、双子ー?」
益夫が困惑しながら言うと、
「た…助けて下さいー」
と、拘束されている方のキャバ嬢が声をあげたー。
「ーーえ…??え???ど、どういう状況ー?
ってか、鵜飼さんはー?」
困惑した様子で、益夫がキョロキョロしていると、
立っていた方のキャバ嬢が笑みを浮かべたー
「ー黒原ー」
とー。
「ーーはい?」
名前を呼ばれた益夫は困惑するー
「ー思ったより早かったなー
まぁ、そこに座ってろー」
ソファーを指さすと、キャバ嬢が偉そうな口調で
そう呟いたー
「ーーん????」
益夫は苦笑いしながら変な声を出すー。
なんで、自分は見ず知らずのキャバ嬢に命令されているのかー
この双子のキャバ嬢はそもそも何で、
犯罪組織アビスの幹部である鵜飼の部屋にいるのかー。
「ーーあぁ、この姿だから分かんねぇかー」
立っていたほうのキャバ嬢が、その顔と声に
不釣り合いな言葉を口にすると、
「俺だよー。鵜飼だよー」と、笑みを浮かべたー
「ーーえ…えっ…えぇっ!?」
益夫は困惑するー。
「ーーい、い、いーーいぃぃぃ?
う、鵜飼さんー
まさか女装の趣味が!?」
益夫が思わず叫ぶと、
「ちげぇよバカ!」と、キャバ嬢の姿のまま鵜飼が叫んだー
アビスに潜む”狂犬”と称される危険人物・鵜飼ー。
その鵜飼がどうしてこんな格好をしているのかー
「ーーーーー正真正銘ー
今の俺は”女”だー。
疑うなら確かめてみろ」
鵜飼はそう言うと、自分の胸や、下半身を指さして
確認するように益夫に促すー
益夫は鼻血を垂らしながら、
鵜飼の胸と、アソコにアレがついていないかどうかを
確認するー
「ーーーー」
「ーーーー」
益夫は「マジかーついてねぇ」と、言いながら
再度鵜飼の胸とアソコを触ろうとすると、
「何回触ってんだ馬鹿野郎!」と、鵜飼は綺麗な手で
益夫を殴り飛ばしたー
興奮して噴き出した鼻血と、
殴られて噴き出した鼻血を手で押さえながら、
拘束されて、助けを求めている方のキャバ嬢を見つめるー。
「ーーー見てろよ」
鵜飼がそう言うと、机の上にあった”サングラス”を手にーー
それを一瞬光らせたー。
するとー
キャバ嬢の姿だった鵜飼が、突然元の姿に戻るー。
そしてー、再び鵜飼がサングラス越しにキャバ嬢を
見つめると、鵜飼の姿が再びキャバ嬢の姿に変わったー。
「ーす、すげぇー」
呆然とした様子でその光景を見つめる益夫ー。
「ーーククク、すげぇだろ?
”他人に変身する力を持つ”サングラスだー。」
そう言うと、鵜飼は拘束したキャバ嬢を気に留める様子もなく、
「ー黒原ー、お前にひとつ仕事を頼みたい」と、笑みを浮かべるー。
「ーあ、はいー…」
まだ驚きの感情が消えないー。
そんな感じの益夫がそう返事をすると、
「ー最近、俺たちを嗅ぎまわっている女刑事がいるのは
知ってるだろ?」と、益夫に確認をするー
「あぁー、はいー
アビス対策班に最近加わったとかなんとかー」
益夫のそんな返事に、
「ーーそいつに”成り代わって”もらいたいー」
と、鵜飼はキャバ嬢の姿のまま
ニヤリと笑みを浮かべたー
「そ、それはどういうー?」
益夫が確認すると、
鵜飼は告げたー
”篠森 梨乃を始末してー
お前が篠森 梨乃として、奴らの情報を探れー
ついでにー”女刑事”の立場を利用して
色々な悪事もこなしてもらいたいー”
鵜飼の言葉に、
「マ、マジですか?」と、益夫は少し嬉しそうに確認するー
「あぁ、マジだー
”やるべきこと”さえやってくれれば
あとは篠森 梨乃の身体で何をしてもらっても構わない」
鵜飼はそれだけ言うと、
”計画”の説明をしながら、
まるでながら作業をするかのように、
突然、机に置いてあった銃を手に、
それを拘束されているキャバ嬢に向けて放ったー。
悲鳴をあげて、そのままぐったりとするキャバ嬢ー。
「えっ!?えっ!?」
戸惑う益夫ー
だが、鵜飼はキャバ嬢を撃ったことなど
全く気にする様子もなく、
説明を続けているー。
「ーまぁ、”変身を解除する時期”は俺が判断するー
お前にはしばらく、篠森 梨乃としてー
女性刑事として生活してもらうことになるー
俺たちを嗅ぎまわる捜査官たちの情報を
こっちに回してもらうためになー」
鵜飼はそこまで説明を終えると、
口をぱくぱくさせながら、
鵜飼に撃たれたキャバ嬢のほうを指差している
益夫を見つめるー。
「ん?あぁ、この女かー?
この女は店のルールを破って、売上を着服しようとした
ハイエナだからなー
アビスの掟に従って処分したー」
鵜飼はそれだけ言うと、
「ーー黒原ー…お前には期待しているー
頼んだぞ」と、肩をポンポンと叩きながら笑みを浮かべたー
「う、鵜飼さんー…
わ、分かりましたー
必ず、期待にお応えできるようにしますー」
益夫は嬉しそうにそう言うと、
鵜飼は変身を解除して、サングラスを益夫に手渡したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして今日ー
益夫は鵜飼から言われた通りに、
”梨乃”を始末して、自分が梨乃に変身しようとしていたー。
玄関の扉を開けた梨乃ー
その隙をついて、背後から梨乃を突き飛ばしー、
そのまま自分も梨乃の家の中に入ったー
「ーー!?あなたはー!?」
梨乃が驚いた表情を浮かべるー。
刑事である梨乃はー
”万全の準備”が出来ていればそれなりに強いー。
しかしー
突然の出来事に梨乃は、混乱していたー
それを逃さず、容赦なく顔面に蹴りを加える益夫ー
「へへへへー
俺は黒原益男ー!
あんたが探ってる犯罪組織・アビスの一員だぜ!」
嬉しそうにそう叫ぶと、
突然、梨乃が益夫の足を引っかけて益夫を転倒させたー
「ぐえっ!」
思わぬ反撃に悲鳴を上げる益夫ー。
すぐに、梨乃は益夫を確保しようと動き出したー
”可愛い顔しててもー流石は刑事さんー”
ニヤニヤしながら、益夫が心の中でそう思っていると、
益夫は、梨乃の足を隠し持っていたナイフで切りつけたー
そしてーーー
例のサングラスを取り出すーーー
それを使いーーーー
「ーー!?!?!?」
梨乃は、目の前にいる男ー益夫の身体が
突然変形し始めたことに驚くー
数秒ぐらいだっただろうかー。
益夫の身体の”変形”は、
あっという間に始まり、あっという間に終わったー
梨乃の姿になった益夫は、
”変身が終わったこと”を確認するかのように
自分の胸に手を触れると
「すげぇ…こいつはいいやー」と、嬉しそうに笑みを浮かべるー。
「ーえ…??え…???こ、これはー…?」
梨乃は呆然とするー。
目の前にいた男が、突然”自分と全く同じ姿”になれば
誰だって動揺するー。
どんなに訓練された人間であっても、隙が生まれるし、
梨乃はアビス対策チームに所属しているとは言え、
普通の警察官だー。
感情一つ変えずに人を撃つようなヒットマンとは違うー
「ーへへへ…この姿ならー
誰にも気づかれないだろうなぁー
それにー…」
梨乃の姿になった益夫は梨乃の顔をニヤニヤと
下品に歪めながらー
信じられない言葉をすらすらと口にしたー
梨乃の家族の名前ー
梨乃の実家の住所ー
梨乃の血液型ー
身長、体重、好きな食べ物から嫌いな食べ物ー、
普段どのぐらいエッチなことをしているのかー
恋愛経験ー
親友の名前や住所ー
あらゆることを、だー。
「ーーーー!!!」
梨乃が青ざめるー
「ーど、どうやって、調べー…!」
梨乃はすぐに警戒モードになって
”自分の姿に変身した男”を捕まえようと再び行動を起こすー。
「ーへへ…”身体の中身”まで
その人間のものを忠実に再現してくれるなんてー
”このサングラス”は最高だなァ」
顔を歪めながら笑う梨乃の姿になった益夫ー
そしてーー
予め持ってきた特殊な毒を持った針を梨乃に刺すと、
梨乃はその場に崩れ落ちたー
「あ…ぅ…」
もがく梨乃ー
「ふふふ 大丈夫ー
家族も、友達もー同僚たちもー
誰もーーーお前の
いいや”わたしの”死には気づかないー」
梨乃姿の益夫が挑発するように笑うー
「だってー”わたし”はここにいるんだもんーーー
な~んてな!」
弱っていく梨乃に挑発の言葉を投げかける益夫ー。
「ーーこの姿なら悪いことも、たくさんできるぜー
お前の仲間を売ったりー、
その気になればお前の家族を地獄に落としたりー…!
ははははっ!」
梨乃姿の益夫がそう言い放つとー
信じられないことが起きたー
”もう立てないはず”の毒を盛られたにも関わらず
梨乃はうなり声をあげながら立ち上がりー
テーブルの上に置いてあった花瓶を手にー、
梨乃の姿をした益夫に襲い掛かってきたのだー
「おっと!?なんて生命力だ!」
驚きながら、指に花瓶があたり、少し血を流す梨乃姿の益夫ー
やがてー
梨乃は口から泡を吹きながらその場に倒れ込むと、花瓶は、
無残にも床に転がり落ちたー。
「ーーはぁ…はぁ…しぶとい女だったなー」
梨乃姿の益夫は、そう呟くと、
迎えに来た鵜飼の車に、”梨乃の遺体”を大きなバッグに入れて乗せて
”梨乃の処分”をお願いしたー
手筈通りだー
”梨乃がいなくなれば”
梨乃の捜索も始まるー
だがー、”梨乃はここにいるー”
この状況では、人里離れた山中で本物の梨乃を処分してもー
誰も気づかないー。
捜索が始まらなければ、
誰も気づかないのだー。
「ーーー…そうだーー
サングラスーー」
鵜飼がそう言うと、梨乃の姿をした益夫は、
鵜飼に変身用のサングラスを手渡すー
「ーお前がその女に変身してることは俺しか知らないー。
万が一、裏切者が出たりして情報が警察に漏れたら終わりだからなー。
だからー、何か用があるときは、必ず俺を通せー。いいな?」
鵜飼の言葉に、梨乃の姿のまま、益夫は「はい」と頷くー。
「それとー、万が一お前がヘマをしてー
俺たちにー
”アビス”に捕まったりしたら
仕方ねぇー
”鵜飼さんに連絡してくれれば分かる”とでも言えばー
俺が変身のことを説明してやるー」
鵜飼はそれだけ言うと、
”ーお前に頼みたいことは定期的に連絡する
ま、今日はその身体を楽しめ”と、
ニヤリと笑いながら、梨乃の遺体を乗せた車を
走らせ始めたー
「ーー」
頭を下げながら、梨乃の姿になった益夫は、
ニヤニヤと胸を揉みながら家の中へと戻って行ったー
イスに座ると、早速スーツの上から
身体をべたべたと触り始めるー
「えへへへ…今日は存分に楽しむかー」
ニヤニヤとしながら、梨乃になった益夫は
梨乃の身体を存分に楽しみ始めるのだったー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
2話完結の他者変身モノデス~!
今回は変身するまでの過程でした~!
次回は…
この作品のタイトルから、何となく想像が
できそうですネ~笑
続きはまた明日デス~!
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