同じ大学に通うカップルが入れ替わってしまったー!
彼女のためにも、絶対に元に戻りたいと考える彼氏。
しかし、彼女のほうは”絶対に元に戻りたくない”と考えていてー?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おはよう」
翌朝ー
雅夫(里奈)が目を覚ますと、
既に、里奈(雅夫)は起きていて、
パソコンに向かって、何かを調べていたー。
「ーー何してるの?」
雅夫(里奈)が不思議そうにしてると、
里奈(雅夫)が「あぁ、いやー入れ替わりのこと、色々調べててさー」と、
眠そうにあくびしながら呟くー。
すぐに「あっ!」と、里奈(雅夫)が
慌てて口のあたりを手で隠すと、
「里奈の身体で大あくびしてごめん!」と、慌てた様子で言うー。
「ーーう、ううんー
そ、それは別にいいんだけどー
ちゃんと寝た方がいいよー?
目も充血してるしー」
雅夫(里奈)が困惑しながら言うと、
「ーそ、それはそうだけどさー
里奈のためにも早く元に戻りたいなーってさ」
と、里奈(雅夫)がノートパソコンを閉じながら呟いたー。
「ーーーう、うんー」
雅夫(里奈)は頷くー
「ーーそれで、何か分かったの?」
雅夫(里奈)が思い出したかのようにそう聞くと
「いやー全然ー」と、苦笑しながら里奈(雅夫)が
首を横に振るー
”入れ替わり”について一生懸命調べていたものの、
出て来るのは”フィクション”の入れ替わりばかり。
入れ替わりを取り扱う映画の公式サイトだったり、
有名な入れ替わり映画のレビューをしているサイトだったり、
入れ替わり作品を熱烈に語るネズミの被り物をした管理人のサイトだったりー、
そういったものが引っ掛かって来るだけー
”現実の入れ替わり”についての記述は見つからなかったー
「ーーまぁ…それはそうだよねー」
雅夫(里奈)がそれだけ言うと、
「ーでも、大丈夫ー。わたし、案外、雅夫の身体も動きやすくて
気に入ってるし、
こんな機会、滅多にないからむしろ楽しんでるし!」
と、前向きな言葉を口にして、
身体をぶんぶんと動かして見せるー
「そ、そうか~?」
里奈(雅夫)は、そんな雅夫(里奈)の姿を見つめながら
少し不安そうな表情を浮かべるー
「うんうん!やっぱ男子の身体の方が動きやすいのかもよ!」
雅夫(里奈)が、ぴょんぴょん飛び跳ねながらそう言うと、
「確かにそれはそうかもしれないなぁ~」と、
里奈(雅夫)が苦笑いするー。
確かに、徹夜したのも結構体力に来たー。
正直、これから大学に行くのは里奈の身体ではキツイ気がするー。
まぁこれは男女がどうこうというより
雅夫の身体と里奈の身体の個人差だとは思うが、
雅夫からしても、里奈の身体より自分の身体の方が
体力的な意味でも、動きやすい気は確かにしたー。
「ーまぁでも、里奈が後ろ向きじゃないなら良かったー」
里奈(雅夫)がそんな言葉を口にしながら
少しだけ安堵の表情を浮かべると、
「そろそろ、大学に行く準備をしないとなー
いつもより、準備、時間がかかると思うし」と、言葉を口にするー
「うん…!そうだね!」
一晩明けたからだろうかー。
雅夫(里奈)もだいぶ元気を取り戻している様子に安堵した
里奈(雅夫)は、穏やかな表情で大学に行く準備を始めたー
「ーーうぉっ!?全然わからん!」
メイクやら、髪の整え方やらー
色々なことが分からないー!
と、里奈(雅夫)は、困惑の表情を浮かべるー
「ーーあ、え~っとね!わたしはいつもー」
いつも大学に行く前にしていることの数々を
説明していく雅夫(里奈)ー
「ーうはぁ…女子は大変だなぁ…」
里奈(雅夫)が、雅夫(里奈)に手伝ってもらいながら
髪やらメイクやら服装やら、
”いつもの里奈”の姿を作り上げていくー。
「ーこれ毎日とか、俺だったら死ねるなー」
笑いながら冗談を口にする里奈(雅夫)ー。
「ーだんだん慣れて来ると思うよー
それにー…元に戻れなかったら、
雅夫流に色々変えてもいいしー」
と、雅夫(里奈)は、言葉を口にするー。
里奈(雅夫)は「いやいや、絶対元に戻れるから大丈夫さ」と、
笑いながら言うと、
「あ!…」と、自分の顔を見て何かを思い出したかのようにして言うー。
「ーーえ?」
雅夫(里奈)が首を傾げると、
「髭! 髭を剃らないと!」と、声を上げたー
「ーえっ…?あっ? え?えっとーどうするの?」
雅夫(里奈)が雅夫の髭を触りながらそう言うとー、
「えっと…それはー」と、説明を始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何とか大学にたどり着いた二人ー。
「ーまぁ、お互い分野も同じだしー
お互いの友達も知ってるしー
何とかなる…かな?」
里奈(雅夫)が少し不安そうに言うと、
雅夫(里奈)は「うんー…がんばる!」と
笑みを浮かべながらそのまま大学の構内を歩くー
もちろんー
ずっと一緒に行動しているわけにも行かず、
二人は別々の場所へと向かうとー、
里奈(雅夫)は少し表情を歪めたー
”そういやー、できれば元に戻るまでに
里奈を押した奴を突き止めたいよなー”
そうー
昨日、階段から転落した原因を作った
”里奈を押した人物”ー
もしかしたら、里奈に恨みを持っている人間の
仕業かもしれないー。
できれば、”元に戻る前”にその犯人を突き止めておきたいー
そうすれば、少なくとも相手は入れ替わりのことは知らないだろうし、
”里奈ではなく、代わりに里奈の身体になった自分が狙われる”状態で
そいつを追い詰めることが出来るー。
つまり、里奈本人を危険に晒さずに済むのだー。
昼までの時間を難なくこなしー、
昼休みに食堂で、昼食を注文した里奈(雅夫)ー
「って、あぁっ!?」
注文を終えたあと、着席して
表情を歪める里奈(雅夫)ー
「いつもの癖で大盛りのラーメンを頼んじまったー!」
頭を抱える里奈(雅夫)ー
里奈の身体でラーメン全部食べられるだろうかー。
いや、そもそも里奈はラーメンあまり好きじゃないと言ってたようなー
それにカロリー的な問題もー
「ーーー」
里奈(雅夫)はすぐに立ち上がって、
キャンセルしようとしたが、
既に食堂のおばちゃんがラーメンを用意しているのを見て、諦めたー。
「ーーーー」
ラーメンを食べながら里奈(雅夫)は
”やべぇ…3分の1も食ってねぇのにもう満腹感がー”
と、苦笑いするー
”っていうか、女の子ってこんなすぐ満腹になるのかー
いや、そういや最初からあまり腹も減ってなかったしー”
そんなことを思いながら
”俺が食べるよりも薄味に感じるな”と、味覚の違いも
改めて感じながらラーメンを口に運んでいくー。
「ーーーあ、里奈!
珍しいね?ラーメンなんてー」
そこにやってきたのは、里奈の親友・朋美(ともみ)ー。
里奈の高校時代の親友で、現代も同じ大学に通う、里奈の親友ー。
里奈が一人で抱え込んで無理をしてしまう性格なのを
よく理解していて、
雅夫が里奈と付き合うことになった際にも、
”ーー手島くんが、里奈を支えてあげてー”
と、心配していた親友だー。
「あーーー ま…… いや、朋美ー」
思わず苗字の方で呼びそうになったのを慌てて修正した里奈(雅夫)ー。
「ー今日は大丈夫?」
朋美が笑いながら尋ねて来るー。
「ーーあ、うんー」
何の話は分からず、とりあえず誤魔化す里奈(雅夫)ー。
お互いのことを良く知っているとは言え、
それぞれの友達との”些細な会話”まで把握しているわけではないし、
大学に来る前に色々情報交換はしたけれど
やっぱり些細なことまで細かく情報交換をするのは難しいー
こうした些細な会話のすれ違いは、少なからず
雅夫になった里奈側にも生じているに違いないー
そんなことを思いながら
ラーメンを半分ほど食べたところでギブアップする里奈(雅夫)ー
「ちょっと~そんな無理しちゃダメじゃん」
朋美が笑いながら言うと、
「残りはわたしが食べてあげよっか?」と、
朋美が里奈(雅夫)の残したラーメンを食べ始めるー
「ーーまぁ、あんまりラーメンなんて普段食べないケドー」
朋美がそんなことを言いながら
雑談を交わすー。
”雑談”についていくのにはものすごく神経を使ったー
だが、それをなんとか乗り越えると、里奈(雅夫)は
”里奈を押した犯人”を必死に探しながら
大学での午後の時間を過ごしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーいいよいいよ~!そんなに頑張らなくて!
わたし、雅夫の身体気に入ったしー!
だって、大学でもなんかエネルギーに溢れてて!
それに全然わたし、今日、疲れてないし!」
今日はー
”雅夫の家”の方に二人で過ごすことになったー
大学から帰って来た雅夫(里奈)は上機嫌ー
”元に戻れなくてもいいかも!”などと言い出す始末だったー
「いやいや、それは里奈のためにもダメだろー」
笑いながら里奈(雅夫)が言う。
雅夫(里奈)は、「別にいますぐじゃなくてもいいよ~って意味」と、
言葉を口にするも、
里奈からは”元に戻りたくない”というオーラが昨日以上に感じられたー
それもそのはず、
雅夫(里奈)はー
雅夫とは違いー、”絶対に元に戻りたくない”と、そう思っていたからだー。
雅夫の身体で1日、大学で過ごし、その思いを強くしたー。
「ーー何か、あんまり元に戻りたくなさそうに見えるけどー」
里奈(雅夫)が、ふとそんな風に呟くと、
雅夫(里奈)は「えっ!?えっ!?違うよ!ほら!
せっかくだからこの状況を少しは楽しもうって意味!」と、
少し慌てた様子で言い放つー。
「ー実はー俺の身体が気に入ったとかー?」
里奈(雅夫)が、じーっと、雅夫(里奈)を見つめながら言うー。
里奈自身も、”わたしがこんな顔できるなんて!?”と思うぐらいに、
疑うような表情で、雅夫(里奈)を見つめる里奈(雅夫)ー
「ーーー…ぎ、ぎくっ…」
雅夫(里奈)がそう言うと、
「ーーじ、実はー…ちょっとー楽しくなってきちゃってー」と、
苦笑いしながら言ったー
「ーはははー…何だよ~…まぁ、別に俺もいいけどさー
でも、元に戻る方法は、ちゃんと見つけておいた方がいいだろ?」
里奈(雅夫)の言葉に、
雅夫(里奈)は「う、うん…!そ、そうだねー!」と、笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日以降もー
里奈(雅夫)は必死に”元に戻る方法”を探したー。
”里奈を後ろから押した犯人”を見つけることー
そして、”里奈と入れ替わった原因と元に戻る方法を突き止める”ことー。
「ーー流石にだんだん女子ライフにも慣れて来たなー」
里奈(雅夫)がそう呟きながら、
昼食を終えるー。
小食な身体にも慣れたー。
今日は適当にコンビニで買ったスイーツだけを食べて、
それ以上は何も食べなかったー。
「ーーー………」
一生懸命、元に戻る方法を探しているがー
なかなか見当たらないー
”階段から転落して入れ替わったー”と、なればー
偶発的なモノだったのだろうかー。
しかし、世の中にはぶつかって怪我をする人も
階段から落ちる人もたくさんいるはずー
それなのに”身体が入れ替わった”などという話は聞いたことがないー。
SNSでも”入れ替わり”と検索してみたが、
サイトを検索した時と同じように
入れ替わり好きのネズミアイコンの人が、大量に入れ替わり作品の
感想を呟いているだけで、
現実の入れ替わりについての記述はどこにもなかったー。
”ーー彼女と入れ替わっちゃったんですけど、
元に戻る方法、知りませんか?”
ダメ元でその人にそんなメッセージも送ったが
頭のおかしいやつだと思われたのか、ブロックされてしまったー
「くそっー…ダメかー」
里奈(雅夫)は、困惑の表情を浮かべるー。
そしてー
「ーーーーーー…」
里奈(雅夫)は”あること”に気付いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
一生懸命元に戻ろうとする方法を探す
里奈(雅夫)ー
”里奈のためにも絶対に元に戻りたい”
そんな意思が伝わってくるー
けれどー
雅夫(里奈)は日に日に”絶対に元に戻りたくない”と
いう思いが強まっていたー
「ーーーあ、ラッキ~!」
大学帰りに嬉しそうにスーパーで、高い位置にあるものを取って
微笑む雅夫(里奈)ー
「雅夫の方が背が高くて、便利♪」
そんなことを思いながら”重い物”も、ひょいっと持てる
雅夫の腕にも感謝しながらー
買い物を終えて帰宅するー。
最近はそれぞれ”身体の家”の方に二人とも帰るようにしていて、
何かあれば連絡するー…と、そんなスタイルの生活をしているー。
「ーーーーーー」
スマホを見つめる雅夫(里奈)ー
”ー絶対に元に戻れるように頑張るから!”
今日もそんなメッセージが送られてきているー。
”もしかしたら入れ替わったのは階段から落ちたことじゃなくてー
”何か薬”が原因かもしれないー”
そんなメッセージも添えられているー
”里奈のことを後ろから押したやつー
そいつが俺たちに変な薬をー”
雅夫(里奈)からのメッセージにはそんな言葉も続いていたー
ぎゅっとスマホを握りしめる雅夫(里奈)ー
日が経てば経つほどー
”元に戻りたくない”想いは強くなるー。
雅夫(里奈)は
「戻りたくないー絶対にー」
と、静かにそう呟くと、
嬉しそうにスーパーで買ってきた弁当を食べ始めたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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二人は無事に元に戻ることはできるのでしょうか~?
次回が最終回デス~!★
全ての答えはそこにあるのデス…!
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