<入れ替わり>お兄ちゃんにバレちゃだめ②~戸惑い~

クラスメイトと入れ替わってしまった少女…。

彼女が危惧していたのは
入れ替わってしまったこと自体よりも、
”自分を溺愛する兄”の存在だったー…!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”お兄ちゃんの呼び方は”お兄ちゃん”ねー
 お兄ちゃんの名前は”良樹”だけどー
 わたしが「良樹!」って呼ぶことはないからー
 とにかくお兄ちゃんって言っておけば大丈夫ー”

「ーーただいま~!」
愛華(紀明)は、紀明(愛華)に言われた言葉を
思い出しながら、恐る恐る愛華の家に帰宅したー。

するとー
早速ー、兄の良樹が奥から飛び出してきたー

「ー愛華!よかった!」
良樹がそう言うと、愛華(紀明)のほうを
心底安心した様子で見つめるー

「ーお、お、お兄ちゃんー…た、ただいまー」
愛華(紀明)が、愛華のフリをしながらそう答えると、
良樹は「いつよりだいぶ遅かったから心配したんだぞ~」と
笑いながら言うー。

「ーう、うんー
 図書当番の片づけで、少し遅くなってー」
ぎこちない口調でそう言う愛華(紀明)ー。

だが、良樹は特に違和感を感じなかったのか、
「ーお疲れ。図書委員も大変だな」と、言いながら
そのまま安堵の表情を浮かべたー

”ふ~…と、とりあえずセーフ…なのかなー”
紀明はそんな風に思いながら、
手を洗い、うがいを済ませると、
「お母さんただいま~!」と、母親に声を掛けるー

母親も何の疑問も抱かなかったのか、
普通に返事を返してくるー。

”わたしの部屋は2階ー
 ”勉強”してる日は、あんまり部屋から出ないことも
 あるから、とりあえず今日は勉強っていう設定に
 しておけばいいんじゃないかなー…?
 そうすれば、お兄ちゃんともそんなに顔を合わせなくて済むからー”

愛華のそんな言葉を思い出しつつ、
自分の部屋にたどり着いた愛華(紀明)は、
途端に力が抜けていくのを感じ、
「は~~~~…緊張したぁ…」と、言葉を口にしたー。

”帰宅して、自分の部屋に上がるー”
それだけでこんなに緊張するなんて、この先、精神的に持つだろうかー

そんな風に思いながら、
部屋に置かれていた姿見に自分の姿が映ったのを見て
ドキッとしてしまうー。

”好きな子”の身体になっているー
と、言うことを入れ替わってから初めてまともに鏡を見たことで、
強く実感するー。

ドキドキしてしまうと同時にー
一瞬”変な想像”をしてしまう愛華(紀明)ー

すぐに首を横に振ると
「僕は何を考えてるんだ!西岡さんの身体でそんなこと!」と、
頭の中に浮かんだ欲望を振り払うー。

だがー
それと同時にー

”そういえばトイレに行きたい”という思いと
”あれ?着替えとか…どうすれば”という思いが同時に浮かんできてー
顔を真っ赤にして「ど、どうしよう!」と叫んだー

それと同時にー

「ーど、どうかしたのか?!」
と、兄の良樹が部屋に駆け込んでくるー

「ひぇっ!?」
愛華(紀明)が思わずそう叫ぶとー
「あ、いやー…急に”どうしよう”って聞こえて来たからー!」と、
良樹が心配で心配で仕方がない、という表情を浮かべながら
愛華(紀明)のほうを見つめたー。

「ーーや、やっぱ学校で何かあったりしたのかー?
 帰って来るの、いつもよりだいぶ遅かったしー。」
良樹が不安そうに呟くー

「あ、い、いやー…そのー」
愛華(紀明)が困惑の表情を浮かべるー。

そしてー
この感じだとやっぱり”入れ替わり”がバレたら大変なことに
なりそうだと、愛華(紀明)は改めて青ざめるー。

「ーーーーじ、実はークラ、、クラスの男子の子がー」
愛華(紀明)は咄嗟に”帰って来るのが遅れた理由”を、
口にしようとすると、
”まだ最後まで言ってないのに”、兄の良樹が
「ーく、クラスの男子!?」と、裏返った声で叫んだー

「ーだ、男子に何かされたのか!?
 そ、そいつの名前はー!?

 愛華を傷つけるなんて許せねぇ…!
 俺がそいつと話をー」

良樹がそこまで言うと、
愛華(紀明)はビビりながら必死に言葉を続けたー

「クラスの!男子の子が、図書室で体調を崩して
 保健室に連れて行ってたから!
 それで、遅くなっちゃって!」

そう叫び終えるとー
愛華(紀明)は恐る恐る良樹の反応を待ったー。

するとー
良樹は、突然笑顔と安堵の表情を浮かべたー

「何だぁ~そうだったのかー
 はは、よかったー

 さすが愛華!優しいな!」

誇らしげな表情を浮かべる良樹ー

「ーーうんーだから、心配しないで」
愛華(紀明)は必死に愛華を演じながらそう言うと、
兄の良樹がようやく部屋から立ち去っていき、
ため息をついたー

「は~~~~」

自分が”愛華”を演じているという現実に
ドキドキしてしまいながらも、
愛華(紀明)は、ビクビク、という気持ちの方が強かったー。

「ーーあ、あのお兄さんー…いつもああなのかなー?」

”西岡さんは、慣れてるのかもしれないけど、
 僕からすると、怖いなぁ…”

そんなことを思いながら
「ーい、いや、それよりもーと、トイレー」と、
スカートのほうを見つめて、
困惑した表情で呟いたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「え~~~?トイレ?」

紀明(愛華)が、愛華(紀明)から
電話がかかってきたのを見て、それに応じるー。

「ーーートイレ行ってもいいー?ってー
 それはー
 当たり前でしょ?

 だって、わたしが”わたしの身体でトイレに行かないで!”なんて言ったらー、
 若林くんー……
 漏らすしかなくなっちゃうしー…」

”そ、それは確かにー”

電話の向こうから”自分”の声が聞こえてくるー

奇妙すぎるー

「ー(わたしの声ー電話だとこんな風に聞こえるんだー)」
そんな風に思いながらも、
トイレのやり方を愛華(紀明)に聞かれた紀明(愛華)は
「や…やり方って言われてもー」と、苦笑いするー

”女としてのトイレの済ませ方”を、言語化しろ、と言われても
なかなか難しいー。

女として生まれた愛華は当然当たり前のように女としてトイレを
済ませて来たし、それを改めて言葉で説明しろ、と言われても、
「う~ん」となるー。

男の人が普段、どんな感覚でトイレを済ませているのかー
そういう部分までハッキリしていないと
”出す時の感触はこうでー”とか、”力の入れ方はー”とか、
なかなか説明できるものではないー

「ーー…言葉で説明するの、難しくない?」
紀明(愛華)がそう言うと、愛華(紀明)は”確かに…”と、
返事をしてくるー。

「ーまぁ…う~ん…とりあえず、わたしの身体でトイレを済ませるならー
 座ってー… あ、あとスカートのー…」

細かく説明を必死にし始める愛華(紀明)ー

ようやくトイレの説明が終わると
”あ、あと着替えはー…?ぼ、僕、このままでいた方がいいのかな?”と
確認してくる愛華(紀明)ー。

「ーえぇ?そのままは流石にー…
 明日も学校あるでしょ…?一回着替えていいからー…
 
 服の場所はすぐに分かると思うしー、
 若林くんが好きなの、適当に着ちゃって」

紀明(愛華)がそんなことを言うと
”えぇ~…!?”と、少し困惑した様子の愛華(紀明)の
言葉が聞こえて来たー

「ーーーあはは…若林くんってばー…そんな気を遣わなくても大丈夫だよ?
 若林くん、わたしの身体で悪いことしちゃおう!とか
 そういう子じゃないって分かってるしー」

紀明(愛華)の言葉に、
愛華(紀明)は”好きな子に信頼されてる”ということに
喜びを感じつつも、
”全く異性として意識されてない気がするー”と、少し残念にも思いながら、
さらに会話を続けるー

「あ、そうそう!先回りして言っておくけどー…
 お風呂もちゃんと、入ってねー?
 そのまま学校に来られた方が困っちゃうしー

 わたしも、若林くんの身体でお風呂に入っちゃうからー
 その…見られちゃう、とかはおあいこでいいしー」

そんな会話をしながら、電話を終えた
紀明(愛華)は、紀明の部屋を見つめるー

紀明は、ヒーロー番組のファンで、
部屋にはヒーローのプラモデルやソフビ人形などが
ズラリと並んでいたー

紀明が心配していた”趣味を見られちゃう”とは
これのことー。

小さい頃に見たヒーローのポスターが大きく貼られているのを見て、
紀明(愛華)は微笑ましそうに笑うー。

”こういうのが、好きなんだー”
とー。

ただー
紀明の心配は”杞憂”だったー

紀明(愛華)は、人の趣味を悪意で笑うような人間ではないー。
高校生がヒーローを好きだって全然おかしくないしー、
むしろ、”若林くんにも、ちゃんと趣味があるみたいでよかったー”と、
心の中で思っていて、
紀明が心配しているような”嫌われちゃうかも”とか、
”笑われるかも”みたいなことは、全く思われていなかったー。

「ーーそういえば…わたしもちゃんと、トイレできるかなー…?」
紀明(愛華)は少し不安そうにズボンを見つめるー。

愛華の方は、紀明のことを恋愛対象としては
考えていないもののー、やっぱり異性の身体となると
戸惑いはあるー。

それにー…

「ーーーー…
 わ、わたしが自分でおあいこって言ったんだしー…
 気にしない気にしないー」

少し困惑しながらも、紀明の身体で、愛華は
”明日になれば元に戻るかもしれないし”と、
自分に言い聞かせるようにして言葉を呟いたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー……はぁ……」
何とかトイレを済ませた愛華(紀明)ー

ドキドキと、汚したりしてしまったら
どうしようというビクビクとー、
色々な感情が織り交ざって、おかしくなりそうだったー

しかも、この上ー

「ーーえぇ…僕…お風呂も入るの?」
愛華(紀明)が、浴室のほうを見つめながら呟くー

”西岡さんの身体でお風呂ー”

ダメだー…死ぬー
僕はここで死ぬんだー

尊いものを見ながら
そのまま幸せそうに、昇天するんだー

そんなことを思いながらも
我を取り戻した愛華(紀明)は
「ーお、お風呂に入らず学校行った方が嫌われちゃうしー
 と、とにかく入らないとー…」
と、自分で自分に言い聞かせるー

愛華のような女の子に恥をかかせることはできないー
とにかく、目をつぶってでもお風呂に入らないとー。

そう自分に言い聞かせると、深呼吸して、
ついにお風呂に入るための準備を始めたー

「ーーーーー……僕ーーー?」
偶然、近くを通りがかっていた兄の良樹は
”僕もお風呂に入るの?”と、一人呟いていた愛華(紀明)の
声を聞いていたのか、表情を歪めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー。
朝、起きても二人が元に戻っているようなことはなくー、
二人は”入れ替わったまま”2日目の朝を迎えたー。

学校にやってきた二人ー

「ーーちょ!そ、そっちは男子トイレ!」
紀明(愛華)が叫ぶと、
男子トイレに入りそうになっていた愛華(紀明)が「あっ…ご、ごめんつい!」と、
言葉を口にするー。

「ーーううんー大丈夫ー
 わたしもさっき、女子トイレに入りかけちゃったしー
 どっちかって言うと、そっちの方が問題になりそうだしー…」

紀明(愛華)が申し訳なさそうに言うー。

最初の授業が始まるまでの時間、
二人で元に戻るための方法を色々と話し合ってみるものの、
元に戻る方法は一向に分からないー。

だがー
とりあえず二人とも”同じクラス”であることは
幸いしたー。

授業の内容は”同じ”であるために、
特に苦労することはーーーー

「ーーー!」
愛華(紀明)が、1時間目の社会の授業で、
ノートに文字を書きながら
表情を歪めたー

”ひ、ひ、筆跡が違いすぎるー…”

「(ど、どうしようー)」
そう思いながら、紀明(愛華)のほうを見ると、
紀明(愛華)もそれに気づいたのかー、
「”文字を真似て”」と言いたげなジェスチャーをしてきたー

「ーー(ま、真似る!?む、無理すぎるー 僕にこんな綺麗な字ー書けないー…!)」

そう思いながらも、なんとか”できる範囲内で真似”をして
社会を突破するー

2時間目の国語ー。

授業中に「ーー西岡さんー」と、先生から指名されて、
今、やっているお話の一部を読むことになったー

”愛華の綺麗な声”で自分が国語の教科書を読んでいるー
そのことにドキドキしてしまうー。

3時間目の音楽ー。
”歌”はさらにキツイー。

しかも、歌のあとはリコーダー。

愛華(紀明)が不安になって、紀明(愛華)のほうを見ると
”気にしないで”と、紀明(愛華)は既に紀明のリコーダーを使っていたー

「ーー(か、か、間接キスー!? し、死ぬー? 僕の心が、死ぬー!?)」

そうは思いながらも、”に、西岡さんの口で西岡さんのリコーダーを使うんだから
間接キスじゃない”と、何とか自分を保ったー。

4時間目の数学は、何とか無難にこなしー…

昼休みを迎えた頃にはー
愛華(紀明)は燃え尽きていたー

「お、お疲れーさま…?」
紀明(愛華)が苦笑いしながら言うと、
愛華(紀明)は、放心状態で「まだ…午後もあるぅ…」と、
不安そうに言葉を呟いたー。

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

このまま平和に終わるのか、
お兄ちゃんにバレて一気に大変なことになってしまうのか、

最終回もぜひ、楽しんでくださいネ~!

今日もありがとうございました~!

入れ替わり<お兄ちゃんにバレちゃだめ>
憑依空間NEO

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