<皮>目の前で乗っ取られた彼女が苦しすぎる嘘をつく①~支配~

目の前で、彼女が皮にされて
支配されたー。

しかし、乗っ取られた彼女は”何のこと?”と
目撃されたにも関わらず、苦し紛れの嘘をついたー…

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見晴らしの良い海が広がる景色ー。

親友から紹介して貰った隠れたデートスポットに
やってきた高校生カップルの二人ー。

「ーーーへ~こんなところもあったんだね~」
彼女の月橋 香苗(つきはし かなえ)が
海を見つめながら微笑むー。

そんな香苗の言葉に、隣に立っていた優しそうな雰囲気の彼氏・
佐々川 亮伍(ささかわ りょうご)が、
「ー僕もこんな場所知らなかったなぁ」
と、穏やかな口調で呟くー。

二人が住んでいる地域から1時間程度でやって来ることのできるこの場所はー
夏は賑わっているものの、寒い季節になると、
その賑わいが嘘かのようになくなり、
こうして”隠れたデートスポット”とも言えるような、
そんな、静かな雰囲気になるー。

元々、この近辺の町は、
あまり商業施設などが揃っているわけでもなく、
そのせいか、さらに静かな、独特な雰囲気を醸し出しているー

「ーせっかくだし写真撮ろ~!」
スマホを手に、景色の写真を撮ったり、
亮伍の写真を撮ったりして楽しそうにしている香苗ー。

元々二人とも活発な性格ではなく、
どちらかと言うと穏やかな性格であるため、
繁華街や遊園地でデートしたりするよりも、
このぐらい穏やかな空気が流れている場所でデートした方が
快適なのも事実だったー。

記念撮影をしたり、のんびり海を眺めながら雑談したり、
珍しい形の貝殻を見つけたり、
楽しく過ごす二人ー

「そろそろお昼にしようかー」
お腹空いてきた~!と、笑う香苗に対して
亮伍がそんな風に呟くと、
スマホで近くの店を探し始めるー

少し離れた場所にファミレスが1店舗ー、
他に個人経営と思われる食堂のような場所が数店舗存在するー。

「ーーここは学校の近くにもあるし、
 せっかくだから、このお店行ってみようよ!」

ファミレスは”学校の近く”にも存在するお店と同じ場所で
香苗も時々利用しているため、
普段行くことのできないお店に興味を示すー。

「ーここ、香苗の好きそうなもの結構ありそうだし、
 ここにする?」

個人経営のお店のうちの一つー
スイーツやドーナツなども取り扱っているお店の
情報を表示して、亮伍がそう提案すると、
「うんうん!じゃあそこにしよっかー」と、笑みを浮かべたー

二人で、海の近くの昔からありそうな食堂に入るー。

お店に入ると、
いかにも長年近所から親しまれてきていたー…
と、いう雰囲気のおばあちゃんが出てきて、
二人を歓迎してくれたー。

他に、近所のおじいさんらしき人が
食事を楽しんでいたものの、
店内は比較的空いていたー。

「ーーーこの辺りは初めてかい?」
おばあちゃんの言葉に、亮伍は
「ーはいー、友達からいい場所があるって聞いてー」と、
笑いながら答えるー。

おばあちゃんと色々雑談をしながら、
メニューを見つめー、
香苗はこのお店の名物らしきケーキを、
亮伍はお腹が空いていたのでチャーハンを注文したー。

おばあちゃんと、その娘らしき人物で
切り盛りされているお店ー

色々な話をしながら
楽しい時間を過ごしー、
二人は昼食の時間を終えたー。

「ーーわたし、先に出てるねー」
香苗が彼氏の亮伍に小声でそう言うと、
「ケーキ美味しかったです!御馳走様でした!」と、
微笑みながら、香苗はそのままお店の外へと出て行ったー。

先に出たのは、単純にお店のカウンター周りが
そこまで広くなく
”ここにいたら邪魔になるから”という香苗の配慮で、
特別深い意味はなかったー。

「ーーあの子を、大事にするんだよ」
おばあちゃんが笑いながら言うと、
亮伍は少し照れくさそうに「もちろんーそのつもりです」と笑うー。

「ーあ、そうだー」
会計を終えたおばあちゃんが少し曲がった腰で奥に歩いていくと、
「ーうちのシュークリーム…美味しいからあとで、二人でお食べー」と、
丁寧に包装された手作りのシュークリームを2つ、
袋に入れて亮伍に手渡してくれたー。

「え?え?いいんですかー?」
亮伍が少し驚きながら言うと、
おばあちゃんは優しく微笑みながら
「ー応援してるからねー。持ってお行き」と、
穏やかに言葉を口にしたー

「ーありがとうございますー
 香苗もきっと喜びますー」

亮伍がそう言うと、
「ーじゃあ、ご馳走さまでしたー
 また、ここに来ることがあればー必ず寄ります」と、
嬉しそうに言いながら、そのままお店の外に出たー。

店の外に出た亮伍は、香苗の姿を探すもー
店のすぐ前にはおらずー、
周囲を見渡すー。

昔ながらの街並みで、
近くに人通りはあまりないー

「ーあれ?香苗~?」
亮伍が香苗の名前を呼びながらそう言うとー、

「うっ… く… ぁ…」
という、うめき声のような声が聞こえて来たー

「ーえっ!?」
亮伍は困惑した表情を浮かべながら、
声のした方向に向かうとー

そこではー
香苗が、薄汚いジャケットを着た男に
後頭部を掴まれていたー。

「ーーか…かなえ…!?」
呆然として亮伍がそう叫ぶと、
薄汚いジャケットの男も、亮伍のその声に気が付いて
振り返るー

「チッー」
男はそれだけ言うと、香苗の後頭部を掴んでいる
義手のようなものを突然光らせるー。

香苗の身体がガクガクと震えてー、
次の瞬間、男が香苗を引き裂いたー

「うわあああっ!?」
亮伍が思わず声を上げるー。

香苗がー
”縦に真っ二つー”になって、
地面に、まるで脱ぎ捨てられた着ぐるみのように
崩れ落ちたのだー

尻餅をついてガクガク震える亮伍の前で、
薄汚いジャケットの男は、
真っ二つになった香苗を掴むと、
そのまま香苗を”洋服”のように着込んでー
後頭部のあたりを何度も何度も確認しながら「よし!」と、
香苗の声で呟いたー

尻餅をついている亮伍ー

だが、香苗は何事もなかったかのように振り返ると
「あーー、え~っとー」と、
何かを一瞬考えるようなー
まるで”記憶を引き出すような”仕草をしてから
「あ、亮伍、お会計終わったんだね!」と、笑顔を振りまいたー

「えっ…えっ…えっ…?」
戸惑いの表情を浮かべる亮伍ー。

「い…今のは…?」
当然、亮伍はそう聞かずにはいられないー。

どう考えても
”普通ではない”自体が起きていたー

「ーー今のって?」
香苗がにこっと微笑むー

「え、い…いやー変な男の人に、香苗ー…今ー」
亮伍が、狼狽えながらそう言葉を口にするー。

それでも首を傾げる香苗に対して
亮伍は今見た光景を、戸惑いながら全て口に出して、
そのまま香苗に説明したー

しかし、香苗は笑うー

「え…わたしが洋服みたいに
 男の人に着られた…?
 何のこと?」

とー。

「ーー…え…??え…?え?????」
亮伍の混乱はさらに強まるー

確かに今、香苗が変な男に何かされていたのは
確かなのだー

しかし、香苗はそんな亮伍の反応を見て
「ー亮伍ってば~お昼食べて寝ぼけてるんじゃないの~?」と、
笑いながら亮伍の腕を掴むー。

香苗の言動におかしなところはないー。
”いつもの香苗”だー。

「そういえば、さっきこの先に小さな遊技場が
 あるって言ってたよね~
 そこに行ってみようよ」

香苗の言葉に、亮伍は「あ、うんー」と答えるも
首を傾げながらそのまま歩き出したー

「ーーーー」
亮伍の背後を歩く香苗が不気味な笑みを浮かべるー

「ー”まさか見られちまうとはなー”」

香苗はー
亮伍の見た光景の通り、
男に皮にされて、そのまま乗っ取られてしまっていたー。

しかし、途中で目撃されてしまった男は
そのまま強引に香苗を乗っ取ったー

何故ならー
”目撃されても勝算があったから”だー。

確かに、目撃されずに香苗を乗っ取ることができれば
それが一番良かったー。

とは言え、”目撃されたからと言って途中で諦める”ことをするつもりはなかったー

何故ならー…
”皮”にした人間を一度着こんでさえしまえばー
”この人物が乗っ取られている”ことを立証することはできないー。

「ーーー(月橋 香苗ちゃんねー へへへへ…)」

”記憶”を読み取ることができるのだからー。
身体だけではなくー、記憶ごと”着る”ことができるのだからー。

その本人に成りすますことはたやすいー。

”監視カメラ”に注意し、
”映像”が残らないようにさえすればー
どんなに目撃者が”見た”と騒ごうと、無駄なのだー。

”この人の中に誰かがいます”とか、
”この人が着ぐるみみたいに着られるのを見ました!”とか、
”人が真っ二つにされて着られる場面を見ました!”とか、
”彼女が何かに乗っ取られています”とか、
そんなことを騒ごうとー

”騒いだやつが、頭のおかしなやつ”と思われるだけだー。

人が皮にされて乗っ取られるー…なんてこと、
普通の日常生活では”起きない”ことだからー。

「ーーか、香苗…あ、あのさ…」
亮伍が歩きながら言うー。

「ーん?なぁに?」
香苗がにこっ、と微笑むー

”いつも”香苗がどんな反応をするのかー
そういう部分まで読み取ることができるー。

香苗本人の意識は完全に奥底に封じ込めー
身体を完全に支配しているー

着られた人間に意識などないー。
”洋服”と同じだー。

しかしー、記憶を読むことができればー
”香苗として振る舞うこと”はたやすいー

「ーーー…さっきの男の人は、だ、誰…?」
亮伍がそう質問するー

「ーー…男の人~?わたし、誰とも会ってないけど~?」
香苗がニコニコしながら言うー

「ーい、いや、た、確かにジャケットを着た男がー…」
亮伍がなおも食い下がるー。

「ーーあははっ…亮伍ってば、お昼ご飯食べて
 眠くなって、寝ぼけちゃったんじゃないの~?」

香苗は、笑いながら遊戯場のある方に向かっていくー。

昔ながらの、小規模な感じの地域のゲームセンターと
バッティングセンター、卓球その他が
楽しめる場所だと、ネットでは書かれていたー。

元々、”行ってみようよ”と、話していた記憶もある。
そこに向かう提案をして、向かうことは
何もおかしなことではないだろうー。

「ー(へぇ、この女、この彼氏のこと、すげぇ好きなんだなー
 好きって感情が身体の底から溢れて来るしー
 ”好き”の記憶が強いなークク)」

香苗はそんなことを言いながらも、
亮伍の反応を待つー

「ーか、香苗…!身体ー…ホントに大丈夫なんだよね?」
亮伍が不安そうに言うー。

「ー大丈夫大丈夫!亮伍ってば、夢を見て不安になりすぎ~」
香苗はそんな風に話を流すー

”勘違い”
と、いう方向に強引に話を持って行き、押し切るー。
仮に騒いだところで”香苗が皮にされている”という証拠を
握らせなければ、どうすることもできず、
やがて、信じるしかなくなるー。

「ーー夢じゃないよ!僕、絶対に見たんだ!
 香苗に変な男の人が何かするのを!」

亮伍は、予想以上にしつこく食い下がって来たー。

どうやらー
”自分の見た光景”によほど自信があるようだー。

「ーーーー」
香苗は一瞬、表情を曇らせるー。

”確かに、お前が見た光景は現実だしー
 お前からすりゃ、夢なんかじゃないって食い下がるのは分かるー”

香苗を着た男はそう呟きながら、亮伍があまりにも食い下がるため
”ちゃんと着ることができているのか”少しだけ心配になって
香苗の後頭部のあたりに触れて”確認”をするー。

だがー、香苗の皮はちゃんと着れているー。

少なくとも、うっかり自分の頭が飛び出したりしているkとはないー。

「ーも~亮伍ってばー」
香苗はそう言うと、そのまま亮伍をぎゅっと抱きしめると、
「ーーほら、寝ぼけてちゃダメ~!せっかくのデートなんだから♡」と、
少し甘い声を出してみせたー

「ーーわっ… わっ…」
顔を真っ赤にする亮伍ー

”へへへへー奥手同士だから、こういうことしたことないもんなー?
 こういう男子なら、これで簡単に落とせるぜー”

真っ赤になったまま、だらしない笑みを浮かべている亮伍を見て、
香苗は少し間を置いてから「ほら、せっかくのデート、楽しも!」と、
笑顔を浮かべて歩き出したー

しかしー

「ーーー…香苗ー…じゃないよね」

亮伍が背後で呟いたー

「ーーー!?」
香苗の表情から笑顔が消えるー

そしてー
振り返るー

「ーー香苗は…こんなことしない!お前は誰だ!」
顔をまだ少し赤らめながらも、亮伍は香苗に対してそう、言い放ったー。

②へ続く

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以前”目撃したけど、本人が誤魔化すからなかなか言い出せない”男子の
お話もありましたが、
今回は、自分の見た光景に自信を持っているタイプの男子ですネ~!

どうなっていくかは、明日以降のお楽しみデス~!

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