<憑依>ねぇねぇ女装してみない?

”隣の家の男の子が可愛いー”

隣人の女子大生が抱いた、
歪んだ感情が、
やがて”憑依”に発展していくー。

・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーあ、恭太(きょうた)くん、こんにちは~」

近所の女子大生・真壁 陽香(まかべ ようか)に
声を掛けられた高校生・恭太は
「あ、真壁さんーこんにちは」と、礼儀正しく頭を下げたー

とても真面目な性格の恭太は、
中性的な顔立ちの男の子で、
陽香は、そんな彼のことをとても気に入っていたー。

帰る時間が同じぐらいなのかー
恭太は、近所で一人暮らしをしている女子大生・陽香と
遭遇することが多く、
色々雑談もする中、”近所のお姉さん”として、
ある程度親しくなっていたー。

今日も学校での出来事を少しだけ話をすると、
そのまま軽く挨拶をして、家の方に向かうー。

だがーー
恭太とすれ違った陽香は、一人
意味深な笑みを浮かべたー

”今日も、恭太くんと会えてよかったぁ♡”

陽香が”恭太とよく遭遇する”のは、
偶然などではないー

”意図的に”時間を恭太に合わせて、
この辺りを徘徊しているのだー。

「ー恭太くんってば本当に可愛いんだもん…」
一人、自宅に戻ると、恭太のことを考えながら
陽香はニヤニヤと笑みを浮かべるー。

「ーーーはぁ~~~恭太くんが、
 可愛いお洋服とか着たら…
 わたしなんかより、ずっと可愛いだろうなぁ~」

陽香はそう呟くー。

陽香もそれなりに、世間からは
”可愛い”と言われそうな風貌をしているものの、
彼女は、自分自身の顔が好きではなかったー。

可愛い洋服や小物、アクセサリーなどを
買うのは大好きだけれどー、
自分の顔が好きではないー。

そんな陽香は、この場所で一人暮らしをしてから
偶然出会った恭太を見て、
次第に歪んだ感情を抱いていくようになったー

”恭太くんが、わたしの持ってる洋服を着たらー
 わたしなんかより、可愛いだろうなぁ…”

という、そんな、感情ー

恭太の姿を思い浮かべながら、
可愛らしい洋服を着て、妄想するー

そんな日々を、陽香は毎日のように
繰り返していたー。

そしてー
ある日、ついに自分の中の欲望を抑えきれなくなり、
学校帰りの恭太を待ち伏せして、
陽香は声を掛けたー。

「ーあの…恭太くんー
 ”女装”に興味はない?」

陽香の唐突な言葉に、
恭太は「え…?い、いきなりどうしたんですかー?」と
顔を赤らめながら戸惑うー。

「恭太くん、すっごく可愛いし、
 きっと可愛い洋服を着たら、絶対わたしなんかより
 可愛くなるから!

 どう!?1回、お姉さんの家で女装してみないー?
 おねがいっ!」

陽香は、”恭太くんなら、お願いを引き受けてくれる”と
そう思い込んで恭太にお願いしたー。

だがー陽香の想いとは裏腹に、
恭太は”女装”には心底興味がなかったー。

「ーーーい…いや、あのー
 ぼ、僕、そういうのはいいのでー
 ごめんなさいー」

恭太は別に何も悪くはないのだが、
ぺこりと頭を下げて、そのまま立ち去ろうとするー

「え…ち、ちょっと待って恭太くん!
 恭太くんなら、絶対可愛くなれるから!
 ねぇ、お願い!」

恭太の後を追う様にして、陽香が
そう声を掛けて来るー

「い…いえ…僕、可愛くなりたいとは思っていないのでー
 すみません」

なおも申し訳なさそうに呟く恭太を見て、
それ以上は、何も言わずに、陽香がついてくることはなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーは?何だそれ」

帰宅した恭太を笑うのは、
恭太の兄の真治(しんじ)ー。

「笑うなよー…僕だって戸惑ってるんだから」
恭太が言うと、真治は
「まぁ~…確かに恭太は美少年的な感じだし、
 そういうお姉さんからすれば、可愛く見えるのかもなぁ」と、
苦笑いしたー。

大学生の真治は、弟の恭太とも特に仲が悪くはなく、
雑談も普通にする間柄だー。

「ーーーまぁ、でもー
 そういうちょっと怪しいお姉さんに食べられないように
 注意しろよ?ははっ!」

真治はそう言うと、笑いながら自分の部屋の方に戻っていくー

「ちぇっ!なんだよ~面白がって」
恭太がそう呟いたその時だったー

「ーーうっ…」
恭太は突然ビクンと身体を震わせてー
突然立ち上がると、そのまま自分の部屋から出て、
家の玄関の方に向かい始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーあれ?恭太はー?」

兄の真治が、夜になって1階に降りて来ると、
弟の恭太がいないことに気付いて
母親に尋ねるー。

「ーえ?あ~なんか、さっき
 ”晩御飯はいらない”って出かけていったけど?」

母親の言葉に、真治は「へ~そっか」と、
答えながら晩御飯を囲む食卓に着席すると、
「ー恭太のやつ、女装しに行ったのかなー?」と
冗談を口にしたー。

だがー

その”冗談”は、冗談では済まなかったー

「ーか…かわいぃぃぃぃ♡」
恭太が、普段は絶対に出さないような
乙女みたいな声を出しながら、
アイドルのような衣装を身に着けて
鏡の前に立って微笑んでいるー。

恭太は今ー、
近所のお姉さん・陽香の家で女装をして
鏡を見つめていたー。

「ーーあ…ぁ…恭太くんも興奮してるー」

顔を赤らめながら、スカートの上からでも分かる
”勃起”した肉棒を見つめて
恭太は嬉しそうに微笑むー。

恭太に”女装”を拒まれた陽香は
あろうことか、少し前に手に入れていた”憑依薬”を使って、
恭太に憑依ー、
乗っ取った恭太の身体を意のままに操り、
自ら陽香の家まで移動しー
こうして、女装をさせていたー。

「ーーあぁぁ…かわいい…かわいい…恭太くんかわいいよぉ…」
中性的な雰囲気の美少年、という感じの恭太が
顔を真っ赤に赤らめて自分を抱きしめているー。

「えへへへ…♡ えへへへへへ…♡」

”近所の危ないお姉さん”に憑依されてしまった恭太は
したくもない女装をさせられて、
今、その身体はゾクゾクと興奮していたー。

「ーはぁぁ…全部着せちゃお」
次々と”いつか恭太くんに着てもらいたい”と思って
用意しておいた洋服を着ていく恭太ー。

さらには、ピンク色のカバーをつけた可愛らしいスマホを手に、
次々と自撮りを繰り返していくー。

「えへへへ……えへへへへへへ……えへへへへへへへへ」

これで、恭太の身体を開放したあとでも、
陽香は恭太の女装姿をいくらでも、
好きな時に楽しむことができるー

思わず笑みがこぼれてしまう恭太ー。

恭太はふと、部屋の隅で”抜け殻”となっている
陽香の身体を見つめるー。

憑依薬を飲んだあと、陽香の身体は自分の部屋で
”抜け殻”になって、そのまま倒れ込んでいるー。

「ーーふふふふ…恭太くんの身体でー
 わたしの身体と”何か”させちゃおっかなー」

ドキドキしながらそう呟く恭太ー。

その表情はー
いつもの少しクールな感じの恭太ではなく、
完全に”欲望に染まった変態お姉さん”の表情に
染まっていたー。

「(キス…しちゃおっかな…)」

恭太の身体を乗っ取ってー
”わたしの身体”とキスをさせるー。

そんな、欲望に満ちた笑みを浮かべながらー
唇を近づけたその時だったー

「ーーー!!!」

突然ー
陽香が目をカッと開いたのだー。

「ーーえっ!?!?えっ!?!?!?」
ビクッとして、女装している恭太が
背後に後ずさるとー
目を覚ますはずのない陽香が起き上がって、
女装している恭太のほうを見つめたー

”え…!? 
 え…!?!?
 え…!?!?!?
 なんでー?”

恭太に憑依している陽香は困惑するー。

こんなこと、あり得ないー。
”わたし”は、恭太くんの身体にいるのにー

なんでー?

そう、首を傾げるー。

「ー何してんの?」
起き上がった陽香が、そう言葉を発するー

「ーーえ…!?え…だ…誰…!?誰なのー?」
女装した状態の恭太が困惑しながらそう叫ぶー。

前の前で起き上がった”自分の身体”に
驚きを隠せない恭太に憑依している陽香ー。

だがー
そんな驚いている恭太に対しー
陽香の身体は、さらに言葉を発したー

「ー俺の弟に、何してるんだ!!!」
とー。

「ーーーえ…えっ…!?」
女装した状態の恭太が困惑していると、
陽香は言うー。

「おかしいと思ったんだ!急に家を出てって
 連絡もつかないからー」
陽香が言うと、
女装した恭太は「え…え…あ、あなた誰ー!?」と、
混乱しながら叫ぶー。

「ーこいつの兄だ!
 よくも俺の弟に憑依して女装なんかさせたな!

 恭太、嫌がってただろうが!」

陽香の身体で、兄の真治がそう叫ぶと、
恭太に憑依している陽香は

「えっ…え…お、お兄さんー…!?」と、
表情を歪めるー

「ーこ、こ、これは…そ、その…」
戸惑う恭太に対して、
陽香の身体を奪った真治が言い放つー

「ー今すぐー…今すぐ元の服に着替えろ!
 そして恭太を開放しろー!

 恭太を可愛がってくれるのはありがたいけど、
 そんな風に、勝手に憑依して
 恭太の身体でそんなことさせるなんてのは
 絶対にダメだ!」

陽香の身体でそう言い放つ恭太ー。

「ーーう…ご…ご…ごめんなさいー」
恭太に憑依している陽香がしょんぼりした様子で呟くー

「ー恭太が正気に戻ったのを確認したら
 あんたの身体も返すからー」

陽香に憑依した真治は、陽香の身体を指さしながら
そう呟くとー、
突然ー、恭太に憑依している陽香が笑い出したー

弟の今まで聞いたことのないような笑い方に、
少し驚く陽香に憑依している真治ー。

「ーあはははははは!なんて言うと思った!?
 わたし、謝りませんから!」

恭太の身体でそう叫ぶ陽香ー。

「ーーーな…なにっ!?
 お、おい!ふざけるな!」

陽香の身体で叫ぶ真治に対しー
恭太はにやりと笑みを浮かべるー。

「ーお兄さんが、わたしの身体に憑依してるってことはー
 お兄さんもわたしと同じで”憑依薬”持ってるってことですよねぇ?
 何のためにー?」

恭太に憑依している陽香が、少しニヤニヤしながら言うと、
陽香に憑依した真治は「うっ」と、表情を歪めるー。

実はー真治はこっそりと”ネットで偶然見つけた憑依薬”で
半年ほど前から”おたのしみ”をしている。

誰かを傷つけたり、犯罪を犯したりするわけではなく、
純粋に”一時的に欲望を満たすため”だけに憑依薬を使っているのだが
バレてしまうと色々とまずいー

「そ…それはー…」
陽香に憑依している真治が表情を歪めるとー
女装した恭太が近づいてきて、
「ちょうどよかったー」と、笑みを浮かべるー。

「ーー女の子の格好をした恭太くん、滅茶苦茶可愛くて
 興奮してたのー…!

 わたしの身体と、恭太くんの身体で、エッチなことしたいなー」

恭太が、顔を真っ赤にしながらニヤニヤと迫ってくるー

「お…おい…お、弟に何をさせるつもりだ!おい!」
陽香の身体でそう叫ぶ真治ー。

「ーーーえへへへ…ずっと、ずっと、お姉さんのこと
 大好きだったんだぁ~」

憑依されている恭太が、女装姿のまま
陽香の身体に襲い掛かるー

「お、おい…やめっ!正気かお前!自分の身体に他人の
 身体で襲い掛かるなんて!おいっ!おいっ!」

必死に悲鳴を上げながら、陽香に憑依している真治が
憑依されている恭太を追い払おうとするー

だがー
”恭太の身体”の方が、”陽香の身体”よりも
力があってー、
恭太のされるがままにされてしまうー

「ーか弱いお姉さんじゃ、男の力には勝てないよ~ふふふっ…
 僕…興奮してきちゃった…!
 ふふっ…ふふふふふふふぅ♡」

女装した恭太が、狂ったように笑うー。

陽香に憑依した真治は、どうすることもできずー、
”陽香の身体からとりあえず抜け出せばいい”と、
思いつく間もないままー
滅茶苦茶にされてしまったー。

”近所のお姉さんの身体”で”弟に乱暴されてしまった”
真治は、放心状態で部屋の天井を見つめながらー

「どうして、こんなことにー…」
と、困惑した表情で呟くことしかできなかったー。

おわり

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コメント

とっても珍しい男の子への憑依描写のある
お話でした~!☆

1話完結で考えたので、
あっさりと進んでいきましたが
たまにはこういう作品も書いていて新鮮ですネ~!

お読み下さりありがとうございました~!

コメント

  1. 匿名 より:

    この話の憑依薬、愛染の売ってる憑依したら戻れなくなるタイプの憑依薬だったりとかしないんですかね? だとしたら、二人のその後が面白いことになりそうですが、少なくとも、真治の方は、何回も使ってるっぽいから違うかな?
    陽香の方は分かりませんが。しかし、恭太も歳をとれば、いつか陽香の好みではないおじさんになっちゃうでしょうから、もし陽香の方が戻れなくなったら、陽香はいずれ後悔するでしょうね。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      このお話では、一応戻れるタイプの憑依薬なので
      二人とも自分の身体に戻ることはできますネ~!

      確かに、おじさんになったら後悔しそうデス笑

  2. 匿名 より:

    思ったんですけど、これ、もし染まるタイプの話だったら、恭太は変態お姉さんの思考に汚染されて、女装趣味に目覚めたり、自分の可愛さに興奮する変態になっちゃいそうですよね(笑)。

    というか、最近は以前みたいな染まるタイプの話が長いことないので、たまには染まるタイプの話が読みたいです。

    • 無名 より:

      確かに最近は染まるタイプのお話がないですネ~!

      そう遠くないうちに考えて見ます~★!

  3. 匿名 より:

    続編希望

    • 無名 より:

      ありがとうございます~!☆
      懐かしいお話ですネ~!☆!

      いつになるかは分かりませんが、前向きに考えてみます~!!